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のほほんほわほわ

植物擬人化小説『ラベンダーさん』が読めます

刑務所内のイジメ

今日の主な登場人物

中学一年生の子猫ちゃん
「あなたは料理でも作ってなさい!」
田谷野(女王様だな……)
今回の遊びでは刑務所隊長らしい。

中学校も子猫ちゃんと同じ学校、学年のパズルちゃん
「ここで本読んでて!」
田谷野「料理以外の本が欲しいよ!」
副班長らしい。

小学4年生の悪魔ちゃん
「全部毒入ってるから」
田谷野「イジメじゃねえか!」
料理隊長らしい。

田谷野
「ハハっ、悪い子は夢の国へ連れてっちゃうぞ! 宿題のない良い国だよ!」
最近ミッキーマウスの声真似にハマっている療育施設の指導員。
毎日何かしらの理由で女の子たちに逮捕される。
逮捕すれば構ってくれると味を占めたらしい。

今日は大統領とブラックに段ボールハウス(定員数は小学生2名)
を作ってあげたが、数時間でぶっ壊れた。
ブラックは段ボールハウスの中にティッシュや鉛筆削りを入れて、
居心地をよくしていた。
ぼくは毛布をかけてあげた。
教室内にちょっとした隠れ家ができたようで、
ブラックは気に入っていた。ハヌスターみたいで可愛かった。

16時を過ぎた頃、子猫とパズルが帰ってきた。
大統領と話してたぼくを子猫が突然逮捕し、
段ボールで簡単に仕切った刑務所内にぼくはぶちこまれた。
まったくひどい話である。

子猫「フウー! あなたは料理を作りなさい、パズルは逃げないように抑えてて」
田谷野「近い近い、中学生でしょ! のしかかんないで」
ぼくは床に押し倒された。力加減できないパズルは基本、本気で来る。

悪魔「できた! これみんなゲジゲジ虫と毒が入ってるから」
田谷野「ヤダ! 食いたくない!」
悪魔「食べるんだァ!」
田谷野「ぐあっ、お腹痛い!」

子猫「悪魔、もっと作って! もっと毒をかけなさい」
悪魔「はーい」
田谷野「」そろり。
パズル「あ! 逃げちゃダメ!」
子猫「逃げたら絶対許さないから!」

その後も何度か脱獄を試みたが、ぼくは子猫とパズルに捕まり、
厳重な警備の元に監視されるハメになった。

管理者「タヤノン、下に送ってもらっていい?」
田谷野「はい」

ぼくは5時便の子たちをマンションの前にいる車まで送るために靴を履いた。
子猫「ねえ、今日タヤノン同乗じゃないよね!?」
同乗で一緒に車に乗ったら、ほとんど遊べないもんね。子猫は6時便だから。
ぼくが戻ってくればもう子猫は帰る時間だ。
その言葉は、すごい嬉しいな。心の宝物箱に入れておこう。

田谷野「大丈夫、すぐ戻ってくるよ」
子猫「すぐ戻って来てよ」

そして車にのせる時、小5のもんもんがダダをこねた。
車に乗りたくないらしい。
もんもん「嫌、走る」
爆笑したよ。
おい! なにランニングポーズしてんだ! 
そういう表現ホントにどこで覚えてくるんだ! 
走っていけねえよ!!

この5ヵ月でまったく聞き取れなかった言葉が聞き取れるようになってきたとはいえ、そういうのはどこで覚えてくるんだろう。おもしろかった。

もんもんくんの一生懸命さは、申し訳ないけど笑ってしまう。
軽度のダウン症だけど、人より長く生きてはいけないし、
親が逃げてしまったりしたけど、もんもんくんは元気に生きているよ。
不器用ながらも一生懸命。
仲良しの二年生の男の子と週明けに会うと、今生の別れだと思った相手と
再び会えたぐらい全力で抱きしめて痛い思いさせちゃったりと不器用だけど、
見ていて本当に一生懸命。
一生懸命すぎて行動がコントみたいになってしまって、ぼくは笑ってしまう。
今日もいっぱい楽しんだね。

田谷野「走るのはまた今度ね」
児童を走って帰らせるなんて、前代未聞だワ。させられないよ。
毎日ここでは問題が起こるけど、その問題も含めてぼくは楽しい。
今日はアメリカが最強の非核兵器であるMOABをアフガニスタン
落としたってニュースを見て、かなり落ちこんでたけど、
子供たちと楽しく笑ってたら、元気が出たよ。ありがとう。
まだまだ生きるけど、いま死んでも、自分の人生に納得できるぐらいに幸せ。
同じ星のことなのに、国がちがうと見える世界が全然ちがうよね。
まるで爆弾なんて落とされていない、誰も死んでない、みんな幸せ、
テロなんてない。東京はそんな快晴で、ぼくの今日はそんな日だった。
子供の世界も大人の世界も、視野の広さが変わるだけで、
そんなに変わらないのかも。大人のほうがなまじな力を
持っているだけに厄介だったり。

この教室にいる子供たちの人生には、そんなこと関係ないけどね。
そういうのはぼくたちが考えるから、あの子たちには、
自分の人生を楽しんでもらいたい。

定型発達――普通の子供たちにはもちろんいろいろ考えてもらいたいけど。

 

5時便の子を車に乗せ、教室に戻ったぼくは目をみはった。
子猫「見て、タヤノンがさみしくないように人形入れたよ!」
教室にある全ての人形、40体ぐらいが刑務所内に無造作にぶっこまれていた。
タヤノン「……」なんて言えばいいんだwwwこれ
子猫「ほら、これみんな血まみれだから」
タヤノン「こっわ!」
子猫「ほら、枕(防災頭巾)もあるからここに寝て! 
毛布ちゃんと掛けて! 手も入れて! いい!? 毒入りの朝ごはんを食べたら、昼は劇を見るんだからね」

ぼくは毒入りのごはんを食べると、人形にアテレコする
子猫ちゃんと悪魔ちゃんの劇を見た。

子猫「笑ったらフライパンで叩くからね」
田谷野「笑ってはいけない24時じゃん」
悪魔「あはは」
子猫「よし、笑わせるぞ! 私たちは笑ってもいいんだよ」

…………ぼくは度々笑って何度も子猫にフライパンのオモチャで叩かれた。

田谷野「ねえ、いま笑ってないのに叩いたでしょ!」
子猫「なんだよー」
田谷野「気分で叩いてるでしょ!イタイイタイ」
子猫「いいじゃん」
田谷野「ねえ知ってる? 刑務所ってイジめるためのところじゃないからね、
悪い人を良い人にするための場所だからね、毒食わせたりしないからね」
子猫「タヤノンはべつにいいの」
パズル「はい、暇でしょ、本持ってきた」
田谷野「何冊もってくるの!? 料理の本ばっかじゃん」
パズル「はい、あおむし(エリック・カールのやつ)」
子猫「はい、寝てて! いい!? あしたは朝ごはん食べたらあれで運動して、
また劇見て、勉強するんだからね」
田谷野「うわ、悪魔がバランスボール持ってきた」
子猫「はい寝て!!」
同僚「あそこブラック過ぎでしょ! どんな遊びしてんのwww」

仕事の後半は刑務所内でムリヤリ寝かされてたから、もう教室内で誰が宿題やっててどんなことがあったのか見れなかったわ。
面白かった。

来週はどんな遊びをするんだろうか。
絶対にしないけど、教室の様子を撮影してみんなに見てもらいたいとは思う。