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のほほんほわほわ

植物擬人化小説『ラベンダーさん』が読めます

第4輪 マノン・ガトフォセ2

「マノン・キャノン!」

 

どてんと前に倒れたルカ。

ビックリして立ちすくむガブ。

 

目からなみだを流しながらピエールが顔を上げると、赤い髪がすぐ目にはいった。

 

腕を組んで、どうどうと立っている姿は男の子みたいだった。

背後の太陽がまぶしくて顔は見えないが、怒っていることがピエールにはわかった。

 

「いてぇじゃねえか、なにすんだ!」ルカが大声を出す。

「なにって、マノン・キャノン」

「いや、ただの飛び蹴りじゃん!」

「うるさい、そんなことはどうだっていいの。14歳にもなってイジメって

恥ずかしくないの? 他にすることないの?」

 

ルカはひざをさすりながら立ち上がった。

 

「こいつ、女だからってもう許さねえ!」

「だめだ、ルカ、呪われるぞ」

いつの間にかルカのとなりに来ていたガブが、

マノンにつかみかかろうとするルカを止めた。

「は、なせ、よ。呪いなんかあるわけないだろ」

「あいつのうわさは知ってるだろ、マズいって」

「うるせえ!」

 

バシっとガブをふりはらい、マノンにあと一歩のところまで迫ったルカ。

しかしマノンがポケットから取り出したものを見て体が固まってしまった。

 

「な!?」おどろくルカ。

 

マノンが取り出したもの――それはゴツゴツした石とコショウビンだった。

 

ルカの心臓が、一瞬遅れて鼓動した。

 

目と目が合う。マノンの真剣なまなざしがルカの頭をまっしろにさせる。

 

「よし戦争だ、かかってこい! 

おまえの目をえぐってコイのエサにしてやる!」マノンが襲いかかってくる!

 

言葉を失ったルカの腕をガブがつかんだ。

「やばいって、逃げよう!」

 

あわてて背を向けて走り出すふたりにマノンが叫んだ。

「待てよ、返すもんがあるだろ? 戻ってこい!」

 

「……」

「……」

 

戻ってきたルカとガブは、ピエールとマノンの前に立った。

「ピエールにあやまって」マノンがどなる。

「ご、ぁ……」

ルカはのどから声を出そうとしたが、うまく出すことができなかった。

どうしておれがあやまらないといけないんだよ!

ルカの心はいらだった。

 

そして――ぼふ!

「うぇっ!?」

「ば~か! ざまーみろ」

 

ルカはマノンの顔にぬいぐるみを投げつけると、ガブと一緒に走り去っていった。